第12章 暗躍する者嫌う者
「まぁ、なんか危ないことがあったら遠慮なく言ってくれ。俺が女官達にそれとなく止めるようにいっておくから。」
「ありがとう…?」
なぜリョンが自分をこんなにも気にかけてくれるのか、ハヨンはさっぱりわからないので、怪訝な顔をしてしまう。
「なんだ?そのなんか俺が変なこと言ったみたいな顔。」
「いや、ありがたいんだけど、なんでここまでしてくれるんだろうって。前も先輩のことで何かあったら助けるって言ってくれたし。」
リョンはえ、と言って少し固まる。そして呆れたようにため息をついた。
「あのな、友達なら言うだろ普通。俺、友達が困ってるのをほうっておけるような奴ではないんだけど。」
ハヨンの驚いた顔を見て、リョンはますます呆れた顔になった。
「あのね。俺のことなんだと思ってるわけ?」
「…弱味を見せても大丈夫な人?」
二人の間にしばしの沈黙が降りた。
「それ、友達って言わない⁉」
リョンが鋭く突っ込み返す。
「ええっと、そうなの?」
「というか、あんた友達の認識ってどうなの?」
「うーん、リョンの第一印象が、侵入者だったから、それがそのまま続いてきて…。友達というか…。共犯者?」
本当は女官と恋人だったなら、その女官は最悪打ち首である。それはなんだか忍びないのでハヨンは何も言わなかったが、それが主な原因で、どうしても共犯者のようにリョンを考えてしまうのだ。
リョンは察したように吹き出す。
「じゃあ共犯者から友達に昇格してよ。」
「うん。」
ハヨンはリョンが差し出した手を握る。あの宰相のイルウォンの手を握ったときのような寒気はなく、むしろ温かで安心した。