第12章 暗躍する者嫌う者
「これからしばらく、あなたが寮に戻るまで、私はあの子たちがなにもしないように食堂にできるだけいるようにするわ。あた、お風呂も夜の9時までお湯を抜かないように徹底させる。」
もともとの規則で、浴場は9時までお湯を抜かないこととなっていた。しかし大抵の女官はそれまでに終えてしまうので、ハヨン以外には支障がなかったのだ。
「ありがとうございます。助かります。」
「…あと、あなたなぜこんなことが起きているかわかる?」
「いえ、それがわからなくて困ってるんです。多分専属護衛の事が関わってるのはわかるんですが、なぜそれが彼女達の気に触ったのか…。」
「おそらくだけど、あの子達は王族の方達に認めてもらえるように必死なのよ。でもあなたはもともと王族との結婚を望んでここに来たわけでは無いわよね?」
「はい、もちろんです。」
もしそんな理由なら、こんな命に関わる仕事は向いていない。
「だから彼女達はあなたの事が理解できなかったのだろうし、どうせ自分が王族になれば身分もあなたの方が下になる。それに今まで女性の兵士なんていなかったから、馬鹿にしていたのね。」
私も全然そんなのに興味なかったから、最初は変人扱いされたわ、と彼女は付け加える。
「でもね、今回の件で、あなたはこの城で働く女性の誰よりも王族に近い距離にいる女になったのよ。そりゃあ部屋の掃除やお食事を運ぶ女官もいるわよ?でもあなたはずっと側に立って警護する。彼女達の何倍もの長い時間を殿下とともにするもの。彼女たちはしてやられた、と思ったでしょうね。」
(なるほど、嫉妬からこのことは起こったのか。)
女は難しい、と自分のことは棚にあげて考えるハヨンだった。