第11章 専属護衛
「それにしてもそうかそうかー。リョンヤン王子の専属護衛の座に登るなんて大出世だなぁ。」
感無量というように、リョンはうんうんとうなずいているが、ハヨンはある疑問を持った。
「リョン、なんで重要事項だから各隊の上層部と、王族しか知らない、しかも昨日決まったことを知っているの?」
これはさすがに見逃せないことだ。
「まさか恋人って王族の人だなんてことは…。」
「まさか!そんなことないよ。ただ、知り合いが教えてくれたんだ。」
それは随分と口の軽い知り合いね、とハヨンが言えば、リョンは少し焦った顔をした。何しろこんな機密情報を迂闊に話したとなれば、罰せられる可能性もあるのだ。
これは、リョンが初めて見せたぼろかもしれない。
「ま、まぁ!それは置いておいて。これからまた、あんたへの周りからの当たりが強くなるかもしれない。気をつけろよ。」
「…。それ、どう言うこと?」
隊の先輩達からの嫌がらせも無くなり、むしろ認められていると最近感じていたのに。
ハヨンにはさっぱりわからない話だ。
「今まで女官達はなにもしてこなかったか?」
「うん。て言うかほとんど関わりないし。」
食事や風呂が一緒になる程度で、他に行動を共にすることは何もない。
会っても挨拶を交わす程度だ。
そういったことをリョンに告げる。
「ふーん、何もなかったのなら逆に怖いな。」
「ねえ、なんで私が嫌がらせを受けることがさも決まってるように言うの。」
「ん?そりゃ、女の嫉妬ってのは怖いからだよ。」
リョンの言葉に、どこで女の嫉妬を受けるようなことをしただろう、とハヨンは眉をひそめた。