第9章 城内警備
「それは…、申し訳ないがまた詳しく話を教えてもらえないだろうか。」
未遂とはいえあの男は暗殺者だ。ガドンは少しでも多くの情報を得たいのだろう。
「ええ、もちろんです。リョンヤン王子にこのような危険な目に会わせてしまった…。その償いはできる限りします。」
「すみませんが、今日の昼食は自室でとってもらっても構いませんか?まだ彼は逃亡中ですし、自室の方がよっぽど安全です。」
「構いませんよ。しかし、リョンヤン殿下も気をつけてください。」
王子達はそれから来た道を戻り始めた。
「それにしてもお手柄だったな、ハヨン。初仕事だったのにあんなにも動けるなんてな。」
ガドンが心底感心した眼差しでハヨンをみた。
「もうほとんど無我夢中でした…。」
ハヨンもそう答えたが、リョンヤン王子の前で矢を弾き返したことは全く記憶になかったので、不思議でならなかった。
何かがいる、と感じてから自分はどうしていたのだろうと考えるが、いっこうに思い出せない。
何か大きな力が働いているような気がしてぞっとした。
「それにしても変わった暗器だな。平べったい暗器なんて初めて見た。」
一緒に警備していた兵士が、暗殺者が弾き返した暗器を拾ってまじまじと観察する。
「知り合いの人が、異国の暗器を譲ってくれたんです。」
ヨウには感謝してもしきれない。自分が夢見ていた、王族の人を守ることができたのだから。