第8章 武闘会
ハヨンの嫌な予感は見事に的中し、あと二試合勝てば優勝というところで、槍を得意とする朱雀所属の隊員が対戦相手になった。
朱雀は燐でも最強の騎馬隊だ。馬上での戦いとなると、大太刀や槍での戦いが基本となるので、槍の専門家ともいえる。
(とりあえず、背後を狙えるときをうかがおう。)
ハヨンは対戦相手と礼をしながらそう腹を括る。
今回数少ない救いは、槍の先が無いことだろう。槍を使う人たちはみな、棒を渡されたのだ。
棒術をしているなら、刀にも有利な武術だと言われているので良いかもしれないが、槍一筋の人にはなかなか難しいものだろう。
相手の構える棒を見て、ハヨンは思わず自分の木刀と見比べてしまう
(気圧されちゃだめだ。気持ちで負けた時点で勝敗が決まる。)
ハヨンは息を一気に吐き出した。
相手が間合いを確かめながらじりじりと近づいてくる。
ハヨンも相手が届く範囲に入らないようにきをつけながら飛び出す時を見計らっていた。
どちらが先に痺れを切らして飛びかかるかこれで大きく勝敗が決まる。
ハヨンたちはじりじりと動くだけでなかなか大きく行動に出なかった。
しかし、どう考えても間合いからして有利なのは相手の方である。
相手は勢いをつけて飛びかかってきた。
(来た!)
ハヨンは素早く太刀筋を見極めながら体を反らせる。後ろに下がっても相手が前にでたらおしまいなので、相手がどう棒を動かすかを考えることが鍵だ。