第1章 剣士への1歩
「じゃあまずはお前からな。こっちに来い。」
ヘウォンと右端の一番先頭に並んでいた者が手招きされ、白虎の間に入って右側にある武道場へと姿を消した。
ヘウォンが姿を消したとたん、受験者達は囁いて話始める。やはり緊張すると人は誰かと話したくなるらしい。
「なぁ、ヘウォン様が作る弱点って何だと思う?」
「さぁな。でもさっき右手を例に挙げてたから右手は無いんじゃねぇか?」
「なぁ、あんたはどう思う?」
そう話題を振られて、静かに作戦を練っていたハヨンは彼らに目を合わせる。
「そんなの実際に手合わせしないとわからないでしょう。だから私は自分の持ってる武器をどう使うかを考えることにした。あなた達もそっちを考えたら?だってそんなにも素敵な武器を持っているもの。」
彼らは白虎に入るために応援として家族から新しい剣をもらったらしい。
真新しい剣を腰から吊るしていた。
彼女の返事を聞いて彼らは顔を見合わせる。ハヨンは再び自分の世界へと入り込んでしまった。
「なぁ、あいつ女か?」
あきらかに女の口調で返事をされたので、彼らも面食らったようだった。
「んなわけねぇだろう!ここの試験受けに来たやつらはただえさえ勇者と言われて一族から称えられるくらい難しいのに女何かが受けに来るわけねぇだろう。」
「だ、だよなぁ。」
奇妙なやつだ、とふたりで囁きあっている横で、ハヨンはなに食わぬ顔で立っていた。