第6章 城での生活
しかし、驚いた?と確信犯のような顔をしていたので遊ばれただけかもしれない。
「もしそれが本当なら、あなた、罰を受けなければなりませんよ?」
「おお、怖いなぁ。」
そう脅しても、いかにも楽しそうなので彼の真意は全く掴めなかった。
「これじゃあ嘘かわからないので城の人には何も言いませんけど…。」
「いやぁ、そりゃ助かるよ。ところであんたの名前は?」
(私が名乗れば彼も名乗るかもしれない。それに、女官と会っていたのを見かけたらその名前を上に報告すればいいし…。)
名乗るか迷ったがそう考えたハヨンは自分の名を明かす。
「ハヨンです。」
「やっぱり女の子なんだね。珍しいね、女の子の兵士って、俺はリョンよろしくね。」
握手を求められ、思わず素直に応じてしまう。彼の優しい笑みが原因かもしれない。
「さて、俺はそろそろ帰るとしますか。」
と裏門に向かって歩き出す。しかし途中で何か思い出すように足を止め、振り返った。
「敬語、止めてね。」
そう言われてもハヨンには戸惑うしかなかった。
「だってあなたの方が断然位高いでしょ。なのに俺が敬語なしで喋ったら悪いだろ?」
(自分も敬語にするって考えは無いんだろうか。)
ハヨンの考えをよそに、じゃあ決まりだからね!と手をふって姿を消したリョンに呆然とした。