第6章 城での生活
「基本食事、風呂は女官達と一緒の館を使ってください。食事は私達のところでとっても良いのですが、朝起きてわざわざ移動するのも面倒でしょう。」
「はい。」
ハヨンの割り当てられた部屋に入り、生活の説明を受ける。
簡素ではあるものの清潔そうで、ハヨンにとっては申し分無いほど良い部屋だ。
「新しく入った兵士は1年間馬の世話を他の隊の兵士とすることになっているから、朝の餌やりとか忘れずに。あぁ、馬の世話は兵士達と顔合わせをしてからだから、明日はまだいいですよ。」
ハヨンにとって初めての集団での生活だから、覚えなければいけないことがたくさんあるように思えて少し不安になる。
「だいたい初めは訓練ばかりですが、ある程度力をつければ城内の見張りや王族でなくとも官僚の護衛などを先輩の兵士と交代で任されるようにもなると思います。それはまぁ、決まったときにお話するので、今は訓練についていくことを考えてもらうといいかと。」
「その護衛というのはいつ頃になれば任されるのでしょうか。」
あのとき助けてもらった人に恩返しをしたい、これがハヨンが兵士を志したきっかけだ。その道に少しでも早くたどり着けるなら…。ハヨンは胸を少し高鳴らせた。
「そうですねぇ…。それほど位の高くない官僚なら上手くいけば半年かな…。しかしまぁ、武闘会で優勝すればすぐに護衛を任されることもありますね。」
「…っ、それはいつ行われますか!」
おや、食いつきましたねとハヨンの反応を見て、面白そうにハイルが笑った。