第4章 旅立ち
「それにしても若衆(若い男たちのこと)に運べなかった荷物を軽々とハヨンが担ぎ上げたときのあいつらの顔は…。なかなかに面白かったな。」
ニヤリとヨウに笑われて、ハヨンは少し恥ずかしくなった。
「やめてくださいよ、私が鍛練を怠らなかっただけで…。」
「しかしな、普通はあんな重いもん普通の女では持ち上げられんわ。」
「そうよ。せっかく収穫した野菜をどうやって運ぼうかすっかり困っていたもの。ハヨンがそんなに力持ちだなんて知らなくて、私も唖然としたわ」
思わず驚きと悔しさが混じった若い男の顔と、母の驚愕した顔を思いだし、ハヨンは吹き出しそうになった。
そしてそんなハヨンに、余裕たっぷりといった様子で戦っていたヘウォンはいったいどれくらいの強さなのか。全くはかりしれない男だ。
「最初は性別についてとやかく言われるかもしれんが、お前の腕前をみれば何も言えんだろうな。」
「まぁ、頑張ってみます。」
ハヨンは微笑みながらそうこたえた。