第22章 共に結びし物
「やるな…ヨンホ殿…」
「それはリョンヘ殿もでしょう…」
二人は座り込んで笑っていたが、ごろんと仰向けに寝そべった。ハヨンは慌てて二人のもとへ近づき、膝をついて手拭いを渡した。
「お二人ともお疲れ様です」
「あぁ、ありがとう」
激しく胸を波打たせながら息をしていた二人は手拭いを受け取って起き上がる。
二人の手合わせは長い間続いた。激しく刀をぶつけながら訓練場をめいっぱい使って闘い、体力の消耗が激しかったのだろう。お互い刀で激しくぶつかり、その反動でよろめいたまま倒れてしまったのだ。
「久しぶりに思いっきり体を動かしたな。疲れてはいるが気分はいいな」
リョンヘの王子のときの表情では一番晴れ晴れとしている。
「楽しい手合わせだった。また手合わせしたいな。もちろんハヨン殿ともだ。」
「そうだな。そういえば私はまだハヨンと手合わせをしたことがないぞ?」
確かにリョンヘとはリョンの姿のときでも手合わせをしたことがない。
「お二人の手合わせさせていただくなんてありがたいことでございます。もちろんお受けします。」
ハヨンは自分がこれほど気にかけてもらえると思っていなかったので、心の中で喜んだ。あまりに喜びすぎては子供じみていてあきれられるかと思ったからだ。
ハヨンは燐の城へ戻るのが怖かった。ヨンホやリョンヤンから聞かされた話を聞いて、もういつまでも楽しい時間が続くわけではないことを悟ったからだ。しかしこうやってヨンホ達と過ごすにつれて城への帰還が迫っているのがひしひしと感じられた。
(…覚悟を決めなければ。何が起こっていようとも受け入れられる覚悟を)
ハヨンは二人が和やかに談笑しているそばで、何度もその言葉を心の中で繰り返した。