第22章 共に結びし物
二人が椅子に座り、ハヨンが立って話を聞こうとすると二人からとめられた。どうやらあくまでも雑談であって仕事ではないからそうかしこまれたくないらしい。ハヨンとしては落ち着かないのだがこれも二人が楽しい時間を過ごすためだと思って遠慮がちに座った。
窓から夏を告げる爽やかな風が通り抜け、ハヨンの頬に涼やかな空気が当たる。ここの国は割と涼しい地域のようでとても過ごしやすい。
「最近の燐や滓の様子をどう思う」
ヨンホがかなり深い話を唐突に始めたのでハヨンは呆気にとられた。どうやらただの雑談ではすまなさそうだ。ヨンホは生真面目な性格だからどんなときもただではすまないのかも知れないが。
「そうだな…。最近は天候も荒れていてそのせいで作物があまり採れない。そのせいで国力も下がっているし、民の士気も下がっている。私はどうにか民の生活を変えたい。滓は民の生活が安定しているようだから参考にしたいのだが…。私の国とは文化が全く違うから難しそうだな」
リョンへは少し笑う。
滓は武器だけでなく沢山の炭鉱や鉱山、砂鉄のとれる川がある。そのため農業でなく鍛冶屋や鉄を扱うことを生業とするものも多い。農業よりもよっぽど他国からの収入が多いので、その資金によって民たちは飢えることがないのだ。
「そうだな…。しかし私の国は農業に向いた土地が少ないから、もし他国からの品が滞ったらもうおしまいだからな。これはまた危険だと思う。」
リョンへも理想の国についてはしっかりと意見を持っていたので、ヨンホとの会話が盛り上がり始めた。以前のヨンホの訪問のさいは、リョンへと全く言葉を交わしていなかったのでハヨンはこの事にほっとした。