第22章 共に結びし物
「では、食後に運動というのもなんですし、しばらくしてから手合わせ願いましょうか」
食事を終え、王が執務室に向かってしまってからヨンホはそうリョンへに提案した。
「そうだな。ではそれまでは…」
「私とお話をいたしませんか」
ヨンホはリョンへに再び誘う。最近ハヨンは彼について少しわかった気がする。少しなれてくると、彼は割と積極的に話しかけてくるのだ。
「そうだな。特にすることもないし…。ハヨンはどうする」
「私は…お供してもよろしいですか?」
ハヨンもこれといった用事もないし、リョンへの護衛が第一の仕事なので二人の邪魔をしては、と気が引けたがそうおずおず申し出る。
「構わない。これだと武道について語ることができるな」
ヨンホは少し微笑んでみせた。その表情は随分と柔らかく、この人は知れば知るほど知りたいという気持ちが沸く人だとハヨンは心の中で考えた。こういった性質はもしかすると民を導く者にとって大事なことかもしれない。
「では私の執務室でも構わないか?」
「ああ。」
「失礼いたします」
ハヨンたちはヨンホの後について行く。廊下は少しひんやりしていた。先程の広間は暖かく工夫されていたが廊下は窓も小さい上に石造りなので真冬になれば寒さが厳しいだろう。それをなだめるように床は深紅の絨毯だった。どこか異国からの物なのか金色の刺繍で独特な模様が施されている。
「ここが私の執務室だ。」
ヨンホが足を止めた。