第22章 共に結びし物
「お褒めに預り光栄です」
リョンへははにかみながら頭を下げた。
「なんと、リョンへ殿は剣の腕がたつのか。良ければ私と手合わせ願いたいな」
ハヨンは相変わらず手合わせしたがるヨンホに、思わずにやりと笑いそうになる。
しかし食事中だし、自分もまだまだこの場では下っ端なので顔に力を入れて耐えた。なんだか無愛想に感じていたヨンホもこうなれば可愛らしく思えてきてしょうがない。
「喜んで。城の者がハヨンとお手合わせなさった折に強いと申していたので気になっていたのです。」
ハヨンは二人の手合わせが観れることに心が躍る。ハヨンとしてはヨンホは勝てなかったために悔しい思いをした人物だし、リョンへの強さを信頼している。
そのような人物同士が闘うのは滅多にない機会だ。
「ほう、ハヨン殿もヨンホと手合わせをしたのか」
そのときハヨンは滓の王に話題をふられて思わず体を強張らせた。
「はい。私はまだまだ実力が足りないことを自覚しましたので、もっと鍛練を増やそうと思っております。」
「それは違う」
ハヨンの言葉に被せるようにヨンホが話したので、ハヨンは驚いたと同時に何を言われるのかと肝が冷えた
「この者はとても腕が立ち、ただの力の強い男では負けてしまうでしょう。見た目は細いですし、女人ですが恐ろしく素早いのと、頭をつかって闘うということを私が知る中では最も理解している者と思います。」
ヨンホの言葉にハヨンはとても驚いた。ここまで他国の従者である自分を褒めるなんて思ってもみなかったからである。
「そうか、燐は様々な人材を見抜く力があるのだな」
そう滓の王はハヨンの方を見て少し微笑む
その後の食事は和やかに進んでいった。