第22章 共に結びし物
そのあとハヨン達は軍の訓練場に赴いた。
「我が国は飛び道具が多いので、騎馬、歩兵、後方支援という三つに分かれている。騎馬の者はいつもは王族の護衛者としても働いている。」
(後方支援…。)
ハヨンは今までに聞いたことのない部隊の存在に驚いた。
「飛び道具は相手側に飛んでいったらそれきりだ。回収は出来ないから新たに矢や火薬が必要になる。そのためにも火薬の調合をしたり、飛び道具を使うものの護衛も必要なのだ。」
今まさに火薬を扱う訓練をしているようで、火を点ける方法について上官が講義している
その上官が試しに一度離れた場所に火薬を飛ばしたが、恐ろしいほどおおきな衝撃音がハヨン達のところまで届いた。何人かの兵士がすぐさま水で満たされた桶で火を消している。
そのめらめらとほんの一瞬燃え上がった炎はハヨンの瞼の裏でまだちらついていた。
「火薬はまた飛び道具でも別格だな…」
リョンへがそう呟いたことにハヨンは心のなかで激しく同意した。
飛び道具というのは、暗器や投石器なども入る。飛び道具の利点は自分は離れた場所にいながら相手に傷を負わせることができる点だが、暗器だと倒せても一人だし、小さいので負傷のみで終わる可能性がある。一方投石器は範囲も広く、威力も大きいが持ち運びに不便だ。
しかし火薬は軽く、小さいので運びやすい上に威力も大きい。
「そうですね…」
ハヨンはこれをもし秘密裏に燐の国の何者かが入手していたら…と考えると身震いしてしまった。