第22章 共に結びし物
翌日、リョンへとハヨン達はヨンホによる城の案内を受けていた。ここの城は、ほぼ石と金属で作られており、外敵からの強固な守りと、金属の加工を長い間繁栄させてきたことを十分窺える。
唯一木造なのは門の戸とその前にある堀の上の橋だが、橋は滑車を使って取外し可能だ。これならば籠城してもなかなか外からは敵も入らないだろう。燐の国では石橋なので、ここはまた課題を発見できた。
「ここは本当に戦に対する考え方が徹底しているな。私達の国は考えが甘かった。」
リョンへもそうヨンホに告げている。リョンヤンとヨンホの時ほど打ち解けた雰囲気は無いものの、静かに会話する二人の姿からはよそよそしい雰囲気もない。
(きっとお二人とも静かな方だからな。リョンヤン様は割りとお喋りな方だったし…。いや、でも待って。リョンもおしゃべりなのは負けてないよね?)
ハヨンは少し前を歩くリョンへとヨンホを見ながらそんなことを考えていた。リョンへのあの対照的な性格はいったいどこから現れたというのか。ハヨンには今までのなかで最も不思議なことの一つとなった。
「いや、あなたの国は兵も強いし獣と戦うことによって城の状態も十分賄えていると思う。ただ、門の橋がどれも石橋なのが少し気になるが…。私としてはあの城の雰囲気は好きだから、あまり大きく変えてほしくないのだ。」
石畳のゆえにここの城は植物がほとんどはえていない。そのため無機質な雰囲気が強い。もしかするとヨンホはそれが嫌なのかもしれない。
「そうだな。私もあの城は気に入っている。」
リョンへの表情は柔らかく、町に憧れを持っているとはいえ、城も自分の家として大事なのだとハヨンはさとる。新たな発見があったことが素直に嬉しかった