第22章 共に結びし物
「ようこそお越しくださいました。明日から本格的に動き出しますので、本日はごゆるりとお休みください」
ヨンホが城の門をくぐってすぐにある広場で待ち構えていた。
「これから世話になります」
輿からおりたリョンへもそうにこやかにかえした。リョンへの姿でこうも笑顔なのは珍しいことかもしれない。
「ハヨン殿もよく来たな。また一度手合わせ願おうか」
「はい、まことにありがたいです」
ヨンホの後ろに控える従者の中にはハヨンを珍しそうに見ている者もいた。ハヨンの印象次第でこの国の女人の対応もまた変わってくるのだと思えば、一生懸命愛想よくしておこうと思える
その後は、案内された部屋に各々が入り、休むことになったが、まさかのハヨンは同行した兵士とは棟の違う、貴族や貴族と同等の身分を持つ来賓の部屋があてがわれていた。その上リョンへとは隣の部屋である
リョンへの護衛がしやすい場所だからだろう。
荷物を置き、護衛をするためにリョンへの部屋へ急いで向かう。ハヨンが部屋にいるあいだ見張りを頼んでいた入り口にいた兵士に礼を言い、ハヨンは戸を叩く。
「リョンへ様。ハヨンが参りました。入ってもよろしいでしょうか。」
「かまわん。入れ」
ハヨンが入ると、リョンへは物珍しそうに部屋のあちこちを見て回っていた。さすがにハヨンの部屋よりも何倍も豪華で、部屋の彫刻一つ一つにも力が入っている。
「やはり同じ大陸とは言えど、国の境を跨げば趣が全く違うな」
どこに誰がいるかわからない。ましてや他国なので、リョンへは一切口調を和らげることはない。ハヨンもリョンへにあわせる
「そうですね。町の家屋も少し違っていましたし、興味がつきません」
部屋のあちこちを見て回る彼の姿は純粋な子供のようで、彼の幼いおりを覗いた気持ちになった。
(なんだろう、何かみたことがあるな)
ハヨンは不思議な思いにとらわれたがその原因が何かはわからなかった。