第20章 幸となるか不幸となるか
「そのようなことが…。わかりました。できるだけ早く滓との同盟について審議にかけます。」
「それはありがたい。」
さすがにすぐに具体的な話に持っていかなかったのは、リョンヤンが国の王子という立場でしかなく、他の意見も聞かずに同盟を結ぶ訳にはいかないからだろう。やはり国と国が手を結ぶのだから、お互い利益になるような条件が欲しいし、それをリョンヤン一存で決めてしまっては責められてしまう。
「実は話はこれだけでは無いのです。」
ヨンホが少し声を潜めてそう話を続ける。その表情はあまりよくないことを伝えるようなので、ハヨンは少し緊張して待ち受ける。
「なんでしょうか。」
リョンヤンも珍しく目付きが鋭い。
「その闇商人を調べていると、どうやら燐で何者かがこっそり我らの国の武器を買い占めているようなのです。それもかなりの数を。」
「えっ」
リョンヤンもハヨンも予想外の事実に息を呑んだ。彼女の頭には反逆者、という可能性が浮かんだ。
「何が起こるかわからないですよ。気をつけた方が良いかと。それとその買い占めによってだいぶん闇商人が儲けているようです。できれば燐の国まで調べることができないので、調査をお願いしたいのです。」
「それは…。随分と危ない話ですね。話してくださってありがとうございます。私もできるだけ尽力します。この件はあまりおおっぴらにしては混乱も起こりかねないので、慎重にならねばなりませんが…」
そしてお互いにこれからの予定を話し合い、ヨンホ達はリョンヤンの執務室から去って行った。