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華の剣士 王宮篇

第20章 幸となるか不幸となるか


「長いですね…」


ハヨンが刀と体術を組み合わせれば、大抵の兵士はたじたじとなり、短時間で勝敗が決する。


流石に白虎の隊員では互角だが、一般的に武道を嗜む程度ではハヨンに勝てるものはいない。彼女は体力や腕力の足りない部分は頭脳を駆使し、そして生まれ持った才能も含めると相当な強さだ。


さすが武術に優れた大国の王子というべきか、ヨンホ程涼しげな表情でハヨンと戦える者は滅多にいない。


無言でハヨンとヨンホは拳や蹴りを交えていたが、とうとう機会をうかがっていたらしい。ハヨンがヨンホの姿勢が少し崩れた時に、足払いをかける。


思わず歓声があがったが、ヨンホはなんとか体勢を立て直し、ハヨンに拳をつきだした。


ハイルはそのとき、ハヨンが勝ったと思った。


ハヨンの特技は、相手の腕をつかんで、相手の勢いを利用して相手を投げ飛ばすことだ。


しかし、ハヨンの技は上手くきまらず、ヨンホが逆にハヨンを投げ飛ばした。


完全に倒れこんでしまったので、ハヨンの敗北となる。


兵士たちは皆どよめいた。


「よい勝負だった。燐の国の兵士は優秀だな」


ヨンホがハヨンに片手をさしのべた。


「お褒めにあずかり光栄でございます」


皆は無愛想なヨンホが初めて笑顔になったのをしかと見たのだった。





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