第20章 幸となるか不幸となるか
「ここは年が明けると王からのご祝辞を賜る場所で、神聖な場所とされております。この場の四隅に朱雀や白虎といった四獣の像が置かれてあるのもそのためです」
リョンヤンはあの後直ぐ様いつもの調子を取り戻し、穏やかにヨンホに案内をしていく。ハヨンと護衛の隊員とヨンホの護衛の5人で歩いて行く。
「…ここから先は兵士達の寮や武道場があります。ここからはこの者の方がよく知っておりますので、案内役を任せますね。」
とついにハヨンの番が回ってきた。
「白虎隊のチュ・ハヨンと申します。今回はこのような役をいただき大変光栄です。どうかよろしくお願いいたします。」
ハヨンは最敬礼をして挨拶する。
「…そなたは、兵士なのか」
「はい、さようでございます。」
ヨンホはまるで奇怪なものをみたかのような反応を示した。どの国でも女が兵士になるのは常識的ではないので、どういったものかといぶかしんでいるのだろう。
「ここからは兵士達の寮がございます。白虎、朱雀、青龍、玄武の全ての精鋭の兵士達は何かが起きても直ぐ様対処できるよう常にこの城に待機しております。」
ヨンホが訪れることを事前に報告していたので、非番の者達が敬礼して並んでいた。いつもの男臭い雰囲気もなく、すました様子でいるのでハヨンは奇妙な気持ちになった。
「ここにはいくらの兵士が常駐している?」
他の国ならば軍事機密なので答えられないが、滓の国は軍事的な協定を結ぶ予定なので問題はない。そういった細かいことを聞かれても答えるように指示されていた。