第19章 まがいものの関係
リョンが歌い終えた後、ハヨンは惜しみ無い拍手を贈る。
「まぁ、いいや。リョンとの関係を誤解されたままの方が、玉の輿狙ってるって女官に嫌がらせ受けないしましかも。」
もしハヨンが後宮の女官だったなら姦通罪として、死罪になってもおかしくはなかったが、ハヨンはあくまでも兵士なのでそういったことは無い。
後宮に入ったものはもう王の妻の一人として扱われる。そのため浮気はご法度だ。もちろん後宮入りを目指している女官も含まれる。
ハヨンにしてみれば、後宮に入れば王の妻の一人と言う考えは理解しがたい。それはただ単にハヨンが庶民の考えしか持っていないからかもしれないが。
ちなみに姦通罪で罰を受けたものも少ないと聞く。もともとは王族との婚姻を願っている人々が浮気をするのもおかしな話だし、後宮に入れば男性とも接触は少ないだろう。
だから浮気をした女性の相手は大抵他の王族の一人なのでまたややこしい話になるのだ。
ハヨンはそんな厄介なことに少しも関わりたくなかったので、リョンとの間違った噂もありだと前向きに考えることにする。
「ふーん、そういうもんなのかなぁ。」
なんだか次はリョンが微妙な表情をしていた。
ハヨンはリョンの顔を覗きこむ。
「何、あなたから利用してきたのに不満?」
「いや、そうだったね。うん、いいよ。お互い動きやすいならそうしよう。じゃあよろしく。俺の可愛い恋人さん。」
リョンがおどけた表情で差しのべてきた手を握り握手をかわす。
「嘘だけどね。」
ハヨン達は笑いあったのだった。