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華の剣士 王宮篇

第19章 まがいものの関係


ハヨンとリョンが最初に訪れた町は苦しい中でも幸せを見いだそうと皆がもがいていた。食べていくのでさえ必死のようだった。


その上ヒョンテは最近、流行病の治療が大変だとも言っていた。町の人達は様々なことに苦しんでいる。


(確かに他国からの攻撃に備える必要はある。でもこの国が成り立っているのは町の人達がいるからなのに…)


王と家臣だけでは何も成り立たない。経済、文化そういったものは全て国民がいるからこそ動いて行く。そして国民を背負う役割の王や家臣達が国民をほっぽり出してどうすると言うのだろう。


ハヨンはひしひしと心の内から沸き上がってくる怒りをどう宥めればよいかもて余していた。


「リョン、私大した力は無いけど、できる限り力を貸すよ。何かあったら言ってね。」


リョンははじかれたように顔をあげる。そこには戸惑いの表情が浮かんでいた。



「あんたは…リョンヤンに仕えているだろう?」


「それはそうだけど。リョンヤン様はそういった政治のことは私には何もおっしゃってこない。普通何かあるんだったら一番近くにいる護衛する兵士達に何か言うはずでしょう?だから私は思うようにやってみようと思うの。私も町の人達の力になりたいから…」


懸命に明るくいようとする彼らに心をうたれた。そしてリョンの愛する彼らに苦しい思いをさせたくない。なぜだかわからないがハヨンはそう思うのだ。


「たとえリョンの願いだとしても、リョンへ様の命令だとしても私は動くから。いつでも迷わずに頼ってね。」



ハヨンがそう言うと、リョンは少し掠れた声で、ありがとうとだけ答えたのだった。









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