第18章 里帰り
「リョンヤン様はお体が少し弱い方なんですが、あまり視察や他国に訪問できないかわりに城内でのことを良く仕切っていらっしゃいますよ。宰相と一緒に」
「へぇ。そう言えばリョンヘ様の顔は何度か見たことがあるが。リョンヤン様は一度も拝見したことがないなぁ。」
リョンヤンはリョンとしてだけでなく王子としてもよく町の視察に来ているので、町の人々からもよく知られていた。
だからリョンヤンは城内での支持が、リョンヘは平民達からの支持が厚い。そのためか両者の支持者がいがみ合い、リョンヘの支持者が有力貴族の暗殺計画をしたり、リョンヘの支持者が多い町を治める貴族が町の人々に重い税をかけたり、リョンヤンへの忠誠を誓わせようと重圧をかけたりすることも珍しくはない。
二人は双子でしかもお互いを大事に思っているのとは裏腹に、自分達の支持者が原因でお互いの命を脅かしてしまうのだ。
「ヒョンテさんはどちらの王子の支持をするんですか?」
「うーん、俺は特には決めていないな。なるべくしてなるものがなるんだろ。じゃあ一番近くで王子を見ていらっしゃる王が一番わかっていらっしゃるんだから、俺達が決めることではないしな。」
ハヨンはほっとした。
「私もそう思います。政策とかが関わってくるとまた違ってきますが、お二人はとても良いお方なんです。だからお二人が危険な目に遭うたびに悲しくなるんです。」
武術や城から縁遠いヒョンテだったからか、ハヨンは勢いよく城ではあまり口に出せないようなこともいってしまった。