第18章 里帰り
「…そうか。お前は本当に自分の主を大事に思っているんだな。ただの雇い主と割りきって、城での自分の仕事に関係の無いことには首つっこまないか、もしくは主は二の次で自分の目当てのものにがめつく行くやつも多いのにな。」
「関係の無いこと?」
「そうだ。お前はリョンヤン様の警護をするという表向きの契約は結んでいるが、リョンヘ様のことは口約束なんだろ?本当はそんなのリョンヤン様にはちゃんとやっているように誤魔化して、適当にやったって証拠が無いから誰にも文句言われたりしない。それでもお前がどちらの警護をしようとするのは、リョンヤン様が大事で、頼まれたことを守りたいし、リョンヘ様のことも大事だからだろ?」
あい変わらず説明を求めるとこの男は長々と話す。ハヨンはその膨大な言葉を聞いて考える。
「うーん、そうですね。それにリョンヘ様とも個人的に繋がりがあるので、もしかしたら頼まれなくても守ろうと考えたかもしれないです」
リョンヘが奇妙な事件に巻き込まれやすい質なのはいずれ知れただろうし、自分の友人を守れないのは歯痒い。
リョンヤンがリョンヘのことを早く教えてくれたので、ハヨンはリョンヤンに感謝していた。
「でもあまりしょいこみ過ぎるなよ。自分の容量を超えたらすべての事が手につかなくなる。」
「はい。」
なんだかヨウと言うことが似ていてハヨンは心の中で微笑む。ヨウは頭より先に体が動く男なので、ヒョンテとは全く違った人なのだと思っていたが、大事に思っていてくれる人は同様に心配するらしい
「もしもだぞ、もし仮にお前がけがをしたら、その時一回だけただで診てやる。まぁ無いことを願うがな。」
帰り際、ヒョンテはそう冗談めかしてそう言った。
「ありがとうございます。せいぜいけがをしないよう頑張ります。」
ハヨンはそう言って笑いながらヒョンテの元を去ったのだった。