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華の剣士 王宮篇

第18章 里帰り


ハヨンはある家の前に立って深呼吸した。


(大丈夫、彼ならここにいる。)


もしいなければ、ここの町で何かを失敗したことを意味するので、ハヨンは戸を叩くのを少し躊躇した


「こんにちはー」


ハヨンが戸を叩いてからそう言うと、



「はい、少し待ってください」


と声が返ってきた。


(…!良かった、彼だ)


そして扉が開くと、男は驚いた顔をした



「ハヨン!元気だったか。」


「はい。お久しぶりです、ヒョンテさん。」


彼は医師で、ハヨンが幼い頃助手として雇っていた者で、生計を立てるのに必死だったハヨンとチャンヒの恩人だ。


「お前が兵士になったのは知っていたが、長い間顔を会わせていなかったからなぁ。次に患者がいつ来るかわからないが、それまで話さないか?」


「はい、もちろんです」


ハヨンはヒョンテの好意に甘えて家に上がる。薬草や薬研、医学に関する書物等があちこちに置かれているのを見て、ハヨンは思わず笑みを浮かべた。


(懐かしい。ここは昔と全然変わらないな。)


ヒョンテは忙しいからか、片付けをあまりしなかったので、よくハヨンが整理整頓をしていた。


「それにしてもお前が白虎を受けるって言ったときは唖然としたよ。男でもなかなか受からないのにってな。」


ヒョンテはハヨンにその夢は諦めた方が良いと言ってきた人達の一人だ。ハヨンはその時随分とへそを曲げたが、今ならヒョンテがハヨンを思いやっての言葉だとよくわかる。女で兵士になるのでも苦労が多いからだ。


ヒョンテは医師の気質だからか理詰めで考える節があり、ハヨンに男の力と女の力の違い等を事細かに説明してきた記憶がある。


しかし強情なハヨンを見て、最後は応援してくれたので、ハヨンは決して彼のことは嫌いになれなかった。



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