第18章 里帰り
「じゃあそろそろ行くね。」
「城で働くのも大変ね。休みといっても結局2泊しかできなかったし。」
出立しようとしているハヨンにチャンヒはそう声をかけた。
「まあね、でも王族の住まいを守るのが私の役目だから、忙しいのは覚悟してたし。」
交代するとはいえ、一日中守り通すのだからハヨンには休日と言うものがあまりなかった。そのかわりに休憩が結構まめにあるのでそこまで不満でもない。
「また休みの時は帰ってきてね」
「もちろん。」
「ハヨン、何かあったら文でいいから遠慮なく相談してくれ。絶対に力になるからな」
ハヨンはヨウの言葉に強く頷いた。どうやら彼はハヨンのこの前の質問で何か心配しているようだった。
「ヨウさんはまた時間があったら手合わせしてほしいな」
「そうだな。まあお前が傷だらけになって仕事がたちゆかなくなったら大変だが」
「そんなこと言ってたらいつのまにか年相応になっている骨がぼきっといってしまうかもしれませんよ?」
と軽口を叩くと、以前の生活を思い出して懐かしくなる。
「じゃあ、行ってきます。」
ハヨンはそう言って立ち去ったが、何度か振り返ったとき、二人ともこちらを見て立っているのがわかった。
ハヨンは来た道とは違う道を歩き始める。リョンと言ったとき少し寄り道になっていたのも理由だが、城に帰る途中で会いたい人がいるのだ。
(もう随分と会っていない…。元気かな…)
彼は忙しいのでなかなか連絡も寄越さない。だから今もその場所に住んでいるかさえ曖昧だ。