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華の剣士 王宮篇

第18章 里帰り


「ねえ母さん、城の中って意外に大変だね。それぞれの思惑が錯綜しすぎて、みんなが裏をかこうとしてる。」


少しでも王族に気に入られて権力を得るため。私腹を肥やして贅沢に暮らすため。


「でもね、そんな中でも自分が正義だと思うことを貫き通そうとしている人を見つけたんだ。」


時に町に赴き、自分の目で見たことを人々に訴える人。人々に何かを与えたがっている人。


「それに、自分のやれることを精一杯やって、その人がいると周りが穏やかになる人もいる。」


時に体が不調にも関わらず、無理をおして仕事に励み、ハヨンにいつも笑みを見せる人。



「だからね、今は城の中で過ごすことでもいっぱいいっぱいだけど、その人たちのために頑張ろうって思えるの。」


そして気のいい仕事仲間や、頼りになる人。


もちろんハヨンに良くない感情を抱き、敵対心をさらけ出す者もいる。


だがハヨンが今を頑張って生活しているのは、そうして支えてきてくれた人や支えたい人がいるからだ。


「だから昔はあんな理由で兵士を目指したけど、今はそれだけじゃなくて、たくさんのことを守りたいから城にいるんだ。だから、母さんは心配しないで大丈夫だからね。」


ハヨンは昨日、会話の中で少しそわそわしながら何度か人間関係について尋ねてきたことを覚えていた。


そのため、ゆっくりと自分の考えたことを伝えたかったので、ヨウがいないときに伝えたのだ。


「…それは良かったわ。ハヨンが今の生活が充実しているなら嬉しい。やっぱりハヨンは特殊だから目立っちゃうでしょう?だから前から少し心配してたの。今のその表情を見て安心したわ。」


チャンヒの見せた笑顔は昨日と今日の中で一番晴れやかだった。


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