第18章 里帰り
「ヨウさんが、城を守ろうと力がはたらいているっていうのには私も賛同する。何回かね、護衛するときに気がついたら暗殺者に応戦してたことがあったの」
「それはかん、ではなくてか?」
「うーん、私異変にはいつも気づけるんだけど、それを何か考えていたはずなのにいつのまにか応戦してるんだよね。」
何度思い返しても、無意識のうちであると言いはることができる。
「わしはそんなことあったことが無いが、城には何かあるんじゃないか?」
「そうかもね。それにリョンヘ王子は不可解なことによく巻き込まれるらしいし。」
城でのことは考えれば考えるほど疑問が沸き起こってくる。なぜリョンヘばかり妙な事件に遭うのか。
それにこの前はリョンヘだけでなく、王族や貴族を巻き込んだ事件だった。
「そういえばこの前の暗殺者は何者かに操られているみたいだったし、不気味なことばかりだよ。」
「そいつはなんだ、洗脳でもされたのか?」
ハヨンはかぶりをふった。
「暗殺をしかけたこと以外は全部覚えてるの。それに意識もはっきりとしていてそうとは見えないの。」
いっそのこと洗脳の方が事件の進展は速かったかもしれないが、もうほぼ迷宮入りの案件だ。可愛そうに彼はもう永久に牢から出れないだろう。
「黒幕がわかればいいんだけどな。」
「…でもそれを知った者は生きているのが難しいだろうな。」
黒幕の規模が大きいと命を狙われるかもしれないからだ。
ハヨンは城に仕えるのは、地位や衣食住は保証されるが、命は保証されないなと改めて思うのだった。