第18章 里帰り
「ねぇ、ヨウさん。人のものとは思えないような力ってあると思う?」
夜も深くなった頃、酒を少し口にしはじめたヨウにハヨンは尋ねた。こんな非現実的な話を素面の人に聞いてもらうのはなんだか恥ずかしかったからだ。
チャンヒは朝早くから畑仕事があるので、もう寝付いてしまい、ハヨンはヨウ朝方まで話し込むことになった。
「まぁ、まずは王族の力はそうだな。」
「うん、そうなんだけど、王族以外の人も不思議な力を持つことはあるかな。」
ハヨンはどうしてもあの宴会で、暗殺者に放たれた光と火傷の正体を知りたかった。
「…何かあったのか」
ハヨンが無意味な質問をする性格ではないと知っていたヨウは徳利を口もとへ運ぶ手を止めた。
「うん、私が一回暗殺者と一対一で対峙したときに、急に辺りが眩しくなって、気がついたら暗殺者は倒れて火傷を負っていたの。でもそこは宴会場だったから、火なんてなかったしどういうことかへウォン様達と考えたんだけどわからなかった」
「火ならば朱雀か…」
「え?」
「考えるとすれば、城内での異変に気づいた朱雀が何かしたと考えられるんじゃないか?朱雀は火の力を持つしな。」
「…ヨウさんは朱雀とか四獣とか信じてるの?」
見えるものしか信じないとでも言いそうな人物だと思っていたので、ハヨンは心底驚いた。
「うーん、信じてるたいうかな、昔俺の国から旅立っていろいろなものを見ると、何が起こってもおかしくは無いんだなと思えるようになってな。それに伝説になってるものは急にどっかからわき出て話ができた訳じゃない。何かわけがあるから伝説になったんだろ?だから朱雀ではなくとも朱雀に近いものはいるかもしれないしな。」