第18章 里帰り
「まさか驚いたわ。リョンヘ様に双子の兄弟がいらっしゃったなんて。」
「リョンヤン様は体があまり丈夫でないらしくて、視察とか遠出のものはだいたいリョンヘ様に任せているんだって。」
ハヨンは強くなることばかり考えていたせいか王族の噂話などを城にあがる前、ほとんど知らなかったがチャンヒは近所の人とよく話すようで、王族のことを意外にも結構知っていた。
ハヨンはいつも一つのことを頑張りすぎて、周りを見る余裕が無いとヨウによく言われていたことを思い出す。
「それにしてもまぁ、大出世よね。普通はこんなにうまくはいかないもの。ハヨンは運がいいのね」
しかしハヨンの運は大抵王族の前でしか使われるので、仲の悪い女官に会ったときなどは、なんでこんなときはついていないのだろうと悲しくなる
「そうだね。私と一緒に入隊した二人は今2年目の兵士と一緒に研修中だもの。」
つまりハヨンは一年目にも関わらず、二年以上の兵士と同等のあつかいなのだ。その上白虎でも限られた者しかなれない専属護衛まで任されているので、破格の扱いだ。
「それで?リョンヘ様とリョンヤン様、どちらが女官に人気があるの?」
今まで静かに茶を呑みながら聞いていたヨウが口に含んだ茶を吹き出しそうになるのをハヨンは目撃した。
急に色恋に話が移ったので、戸惑ったのだろう。女はこういった手のものが好きだからなぁと考えたハヨンだが、自分が女なのを忘れているかのような考えだ。
「城ではリョンヤン様が人気だよ」
リョンヘが獣を扱えないので、城ではこっそり落ちこぼれ扱いをされているだなんていえたものではない。
「へぇー。薄幸の美少年が女官の子はお望みなのかな。」
体が弱いから薄幸とチャンヒは言い表したが、ハヨンには彼が薄幸とは言いがたいように思える。
あの穏やかな笑顔と性格は、幸薄いものとはほど遠いからだ