第18章 里帰り
「ハヨン、お前の今の主な仕事はなんだ?手紙の様子ではリョンヤン王子の専属護衛になったと言っておったが。まさか、誰かがお前に他の仕事も任せているのか?」
ハヨンはヨウの口ぶりが険しいのに気がついて、どうも変だと首をひねった。
「ううん、友達が最近町が変な様子だから調べたいって言ってて、方向が一緒だったから立ち寄っただけ。仕事とかではないよ。それにヘウォン様や、直属の教育係のハイルさんにはよくしてもらっているし。」
「そうか。」
ヨウは少し安心したように息を吐き、前を見据えた。しばらくの間気まずい沈黙が二人の間を支配する。
「あのな、ハヨン。俺はお前がやりたいようにやって、仕事を頑張っているのは嬉しいし、お前の夢だから後押しをしてやりたい。でもな、お前は性格的に本当に請け負う以上の苦労を背負い込む傾向がある。だから少し心配なんだよ。」
ハヨンは以前彼女が白虎に入るために厳しく指導していたヨウが、こんなにも寂しく弱々しく話すのを初めて見た。そのせいか彼の言葉はハヨンに強く響く。
(私とヨウさんは家族ではないけど…。やっぱりすごく大切にされてる。)
父親を早くに亡くしたハヨンにとってもヨウは欠かせない大切な人だ。
「ヨウさん、心配してくれてありがとう。家についてからもっと詳しく話すけど、私は仕事は全部やりたいからやってるし、道理がかなってるから歯向かわずに全てこなしてるの。それに今日のことだって町のみんなのために大切だと思って見に行ったの。だから苦労を背負い込んではいないよ。」
まさかその町で戦いましたなんてヨウには言えないがハヨンは心を込めてそう返した。仮に今日の本当のことを話せばヨウの寿命が縮みそうだ。
「それならいいが…。俺の弟子は全員俺の子供のようなものだ。だから本当は危険な目にはあってほしくない。でも兵士の道を進むなら危険を背負うのは当たり前のこと…。それでもお前の無事を願っていたら臆病なじじいだとお前はあきれるか?」