第17章 褒美
「私は店にいるもう一人の仲間に加勢します。だからあなた達は先に逃げて。」
縄を解いてもらうのが最後になった人達にハヨンは告げた。
「でも…あなたは大丈夫なの?」
「ええ、私は誰にも負けたりしない。」
そうでなければ生きて帰れない。最悪のことは考えたくもなかった。
「本当に助けてくれてありがとう。またいつかお礼を…」
「いいよ、そんなの。私がしたいことをしただけだから。」
ハヨンは笑ってみせた。本当に何かを求めていたわけではない。求めていたのは、何も悪くない人達を助けて笑顔になってもらえることそれだけだ。
「いつやつらがこっちに来るかわからない。だから早く逃げて。」
ハヨンがそう言うと、彼女達は階段をかけ上がって行った。ハヨンも後を追ってリョンのもとへ行くと、結構な数の大男が伸されていた。王族一の腕というのは嘘ではないらしい。
リョンは相手を気絶させるだけで、相手を斬る行為はしてなかった。血まみれの姿では城に帰るのも難しいし、今回はもともと視察するだけの予定だったので、殺しては駄目だと思ったのだろう。
「リョン、手伝うよ。」
リョンの背後に立ち、向かってくる巨漢たちを刀のさやで叩く。
「助かる。」
ハヨンが皆を解放できるように派手に立ち回っていたからか、リョンの肩は大きく上下し、呼吸が荒かった。
ハヨンはもうこれ以上リョンに負担をかけたくなかったので、容赦なく相手を突いた。
全員を伸すまでずいぶんと時間がかかったが、中心の人物だったがらがら声の男は皆に守られていたせいで最後まで逃げ回っていた。
ハヨンとリョンは男を壁際に追い詰める。
「な、なぁちょっと待ってくれよ。」
男が焦ったようにハヨンたちに話しかけた。
「あいにくそんなことで待つようなのろまじゃないんでね。」
リョンの返事にちっと舌打ちをし、男は懐から小刀を取り出して、ハヨンに飛びかかった。