第17章 褒美
「…ありがとう、ハヨン。」
リョンはハヨンの両手を握りしめて言った。
「ううん、私は当然のことを言ってるだけ。お礼は言わないで。だから遠慮なく相談して欲しいし、頼って欲しい。」
「俺、本当にいい友達を持ったよ。」
リョンは少し目をそらしながらそう言った。少しくさいせりふを言ったからか、恥ずかしいのだろう。少し頬が赤かった。
(どうして王子だから距離は埋められないなんて思ってしまったんだろう)
ハヨンは少し先日のことを後悔した。
リョンはハヨンが大変な時、力になると言ってくれた。それなのにそんなことを思うなんて。
それは逆にハヨンがリョンを王子だからと線を引こうとしていたのだ。
リョンはいつも友達でいてくれた。それなら私も友達でいるべきなのだ。
(…リョンが差しのべてくれた手を、もう絶対に離さない)
ハヨンはそう心に決めたのだった。
「あ、もうすぐ隣の町につくよ。」
確かに目をこらすと家が立ち並んでいるのが見える。
「でも、さっきの町より随分と栄えてそうだね。」
人々のざわめきがここまで伝わってくるし、何だか人の行き来も盛んなようだ。
「なぜここまで活気があるか。ちょっと不思議でしょう?」
リョンの言葉にハヨンは素直に首肯く。するとリョンはにやっと笑った。
「火のないところには煙は立たない、だね」