第17章 褒美
「思っていた以上に町の雰囲気まずいね…。」
王都に近い場所は裕福な人も多く、商売も繁盛していたのでまだにぎやかだったが、そこから少し歩くとだんだんと町の活気が失われているように思えた。
「そうだな…。」
人がすんでいるかもわからないような建物や、ものごいをする人たちがあちこちにいる。
二人は少し沈んだ表情で並んで歩いた。
「あ、リョンじゃない!」
と途中で若い女性に声をかけられる。
「やあユナ。久しぶり。」
「随分と見かけなかったからどうしたんだろうと思っていたのよ。どこか演奏しに行ってたの?」
どうやらリョンの知り合いのようだ。やはり町でも旅芸人のふりをしているらしい。
「そうだね。少し東の方へ行っていたんだ。」
「ところであなたは…リョンの恋人…?」
不安そうな表情をしていて、ああ、彼女はリョンのことが好きなのだとハヨンはさとる。
「いいえ、私は城で働いているんだけどそこで何回かリョンに会ったのよ。それで友達になったの」
ユナはぱっと表情を明るくした。
「そうなの。そういえばリョンは貴族にも人気があるものね!すごいわ!」
「いやいや、そんなそんな。」
誉められてリョンは少し照れている。そんな彼を純粋な目で見つめる彼女を、ハヨンはたまらなく可愛く見えた。
(恋する女の子ってこんなにも可愛いんだな。)
権力とか関わりのない世界だからこんなにも純粋に恋できるのかもしれない。
「それにしてもあなたのことをみんな待ちわびていたのよ。みんなを呼んでもいいかしら」
「もちろん。」
ユナは大通りの方へと走っていった。