第17章 褒美
「何だよ、あんなに否定しなくてもいいだろ?少しからかってやろうと思ったのに。」
「何を?」
「あんた、隊員がどう扱えばいいか困っているのわかってるだろう?」
「うん」
何せ史上初の女性隊員だ。隊員どころか女官もそれ以外の人もハヨンとどう向き合えばいいかわからず、戸惑っている。
「それにハヨンは紅一点の存在なわけだ。だからハヨンのよさをみんなに気づかせて、高嶺の花の存在にさせようかなって。」
「ちょ、ちょっと待って。よさを気づかせるのは結構だけど、高嶺の花ってなんで?」
しかもそこまでいかないだろうとハヨンは苦笑いする。リョンに良いところがあると言ってもらえるのは嬉しかったが、何だか話が変な方向に進みそうだ。
「だってその方が女もなめないし、隊員にあれこれ頼み事をするとき楽だろ?」
「…リョン、あんたの発想はぶっ飛び過ぎ。」
ハヨンは思わずため息が漏れた。こんな人が王子でこれから先、この国は大丈夫なのだろうか。
「あれ?我ながらいい発想だと思ったのに。」
おかしいなぁと呟くリョンは何だかかわいらしく見える。
「まぁ、この話は置いておこ。とりあえず私も町を通って家に帰るから一緒に行こう。」
ハヨンがそう言って再び歩き始めると、リョンが嬉しそうな声をあげる。
「あんたとこうして城を出るの、初めてだな」
「…それもそうね」
いつもはハヨンはリョンを見送る側である。
「あんたも俺も別の目的があるけど、一緒に外に出るの、ちょっと楽しみだな。」
リョンの笑顔を見て、ハヨンも何だか楽しい気分になってきたのだった。