第14章 新しい仕事
「私もその頃はわがままでして。体が弱いのに無茶して何度も城を抜け出したものです。いつもリョンヘと出掛けていたので、あなたとお会いしたなら、二人で会ったことになりますので…。」
ハヨンに理由を教えてくれる辺り、リョンヤンも少し協力しようとしているのかもしれない。
それに、とリョンヤンは苦しそうに付け加えた。
「リョンヘは獣が操れないし、10年前までの記憶が無いんです。」
その言葉にハヨンは息を呑んだ。
獣を扱えないということは、王家では落ちこぼれとして扱われると聞いていた。王位継承について、リョンヤンとリョンヘでは、どちらかというとリョンヤンの方が家臣の間では人気が高く、疑問を持っていたのだが、これで納得がいった。
それに前に戦になったら、体の弱いリョンヤンを連れ出して、総大将として陣の後方に待機してもらい、リョンヘは兵士の一団を率いることになっていたので、不思議だったのだ。ヘウォンに聞けば少し気まずそうな顔をしていたが、獣を扱えないことを言ってはいけないことが暗黙の了解になっていたのだ。
様々な疑問が解けていくなか、ハヨンはこの城で最も親しい人物が、恩人でなかったというのは少し嬉しかった。
自分にとって友人である人が急に命の恩人の王子となってしまったら、寂しいからだ。