第14章 新しい仕事
(本当のことを話してもいいだろうか。もしかしたら気を悪くなさるかもしれない。それに、誰かというのが確定しない今ではなんとも言えないし…。リョンヤン様とリョンヘ様は私が助けてもらった方によく似ていらっしゃる。もしかしたら…。)
ハヨンの迷いに気づいたのか、リョンヤンは
「ハヨン、どうかしましたか?もしかすると、私にその話をするのは嫌ですか?」
と尋ねてくる。
「嫌ではないのです。ただ、少し申し上げにくいことなのです。もしかするとお気にさわるかもしれません。それでも構いませんか?」
「いいですよ、あなたはいつも礼儀正しい人です。今日のちょっとしたこと位、目を瞑れます。」
リョンヤンは優しくて包容力のある人だ。彼なら怒らないかもしれない、と見越して許可を願ったが、上手くいって良かったとハヨンはほっとした。
「今から10年ほど前になります。私の母が流行病(はやりやまい)に倒れて、私は貧しいながらも必死に薬を手に入れました。そしてその道すがら、容姿の珍しさからか人買いに拐われそうになりまして。その時にある方に助けていただいたのです。その方は王家の剣を携え、獣を操る私とそう年の変わらない方でした。」
リョンヤンが驚きを隠せないでいるのが、ハヨンにはわかった。
「私は母の命と私の身を守ってくださった方に感謝しております。その方にご恩を返すために白虎に身を置くことにしたのです。」
「…ハヨンはその少年を誰と見当をつけているのです?」
リョンヤンの言葉に、ハヨンは緊張が高まった。
「まだわかりません。10年という歳月は重いです。人の様々なものを帰るので、誰とは本人から教えていただくまではなんとも…。」
「すみません、多分その少年はとりあえず私でもリョンヘでも無いことは請け合います。」
「…そうなんですか…。」
二人の容貌はあの少年の面影がかいまみえたので、この二人のどちらかでは、とハヨンは期待していたのだが、そう聞いて少し落胆してしまった。