第14章 新しい仕事
「なんでそんなに敬語を気にするの?」
一度はっきり聞いてやろうと思い、意を決して尋ねた。
「だって俺とあんた、同い年だし。」
「いやいや、そんなの理由にならないし。」
リョンヤン王子がハヨンと同い年なのは知っていたので、当然双子のリョンヘつまりリョンも同い年なのはわかる。
しかしそれだけで敬語にこだわっているようではないので、ハヨンは気になったのだ。
「俺を同等に扱ってくれる人があんたとリョンヤンくらいだからだよ。」
しかしハヨンは最初、リョンを侵入者と思っていたので、それにも少し誤解がある気がするが、黙っておくことにした。
「でも、リョンの姿なら町の人達は同等に扱ってくれたんじゃない?」
「いや町の人でも同世代では、女は恋人になれって迫ってきて、男はそんな俺を見て煙たがってるんだよなぁ。他の世代とは上手くいくんだけど。同世代で俺の中身をちゃんと見てくれる人はいるのかなってうんざりしててさ。」
リョンがぽつりと呟いた言葉に、何かリョンの心の奥底がかいまみえた気がした。
(…まぁ、女の子に人気が出るのはしょうがないよね…)
王族の王子の中でも一番女官達に人気があるのがリョンヤンとリョンヘだ。二人は顔の大部分は似ているが、あとは美しいか、凛々しいかという違いで人気が分かれる位だろう。
(それにしても町でも人気あるんだ。別にもてようとはしてないみたいだけどな…。もしして天性のたらしだったりして…。)
ハヨンは一人で納得していた。
「まあ、そんなこんなで俺の中身を見てくれているあんたとはもっと仲良くなりたいんだ。それに友達と敬語だとなんか変だろう?」
相違って笑ってみせた彼の顔を見て、ハヨンは彼が人気の理由への確信をますます深めたのだった。