第14章 新しい仕事
「宴会での護衛ですか。」
リョンヤンの護衛も慣れ、だんだんと様々な場所で任されるようになった頃、ハヨンはヘウォンに呼び出された。
「そうだ。お前が白虎に入ってきたとき、元はお前の役目は宴会での護衛が主になる予定だったんだ。」
元は、というのはハヨンがリョンヤンの専属護衛になったからだろう。
「なぜ私なのです?屈強な兵士はいくらでもいるではありませんか。」
宴会は王族と堂々と会うことのできる場所。そして招かれた客の知合いとして、暗殺者が忍び込みやすい場所でもある。
そんな危険な場所にハヨンのような新人で女人を呼べば、なめられて余計によくない輩が増えるのではないのか。
ハヨンはそう疑問をぶつけたが、ヘウォンはむしろ逆だと言った。
「同じ来賓の者だと思っていたら兵士だったら、今度はどんな手を使ってくるか、と相手も警戒して次は簡単に手を出さなくなるだろう?それにお前の存在を知らないやつらは、王族が丸腰状態だと思って油断する。そしたら怪しい奴を見つけられる。」
どうやらハヨンをそして王族を囮にする前提の作戦のようだ。
ハヨンは憤慨してしまった。
「もしそれで相手がかかってきたらどうするんですか!」
「そりゃあ、ハヨンがしとめるんだ。やれない訳ではないだろう?それに室内だと、屈強ながたいのいい男よりも身のこなしが軽いお前の方が有利だ。」
確かに、ハヨンは負ける気は毛頭ない。しかしハヨンを囮にするなら、相手が警戒しないよう、剣は携えることはできない。
「私は何で戦えばよいでしょう。」
「うーん、暗器や短刀が主になるか。あんたの十八番(おはこ)の剣は使えないからなぁ。あとはお前のもう一つ得意な体術か。」
(今まで剣を重点的に極めていたけど、これからは他も平等に特訓しなければ。)
ハヨンはそう心のなかで決めたのだった。