第13章 露見
ハヨンは言葉を失っているリョンヘを見て、目を伏せる。なんと言われるかわかっていても怖かった。
「なんでそんなことを言うんだ。俺はあんたとはもう会わないなんて一言も言ってないだろう?俺は今日伝えたかったことは、あんたにこれらもよろしくってことだ。」
「ええ⁉」
ハヨンは思わず目を剥いて叫んでしまう。
「なんでそんなすっとんきょうな声を出す。言っただろう?俺たちは友達だと」
「いや、しかし私はこの城をそして王子を守る立場としてですね。あなたが抜け出すのを止める役目なのですが…。」
そんなあなたが避けるべき相手なのによろしいのですか、という声がだんだんと尻すぼみになった。
「大丈夫だ。俺は抜け道をいくらでも知っている。あんたにみつかっても後でいくらでも抜け出せる。」
リョンヘの返事を聞いて、ハヨンはあぁ、とため息をつきそうになった。
(そうだ、この人はそういう人だ。)
人に縛られず自分の思うように生きる。
王子としての彼はほとんど知らないが、リョンとしての姿はよく知っている。あれが素ならば、旅芸人らしい何にも縛られない人のはずだ。
「城で俺がリョンヘとしてあんたに会ったとき、あんたは俺のことをよく知らないふりをしてくれ。でも、リョンの姿の時は…。前と同じようにしてほしい。あの時間は王子でも、お忍びで警戒しているリョンでもない、自由な俺なんだ。唯一の心の拠り所で、気を張りたくない。」
ハヨンは心の拠り所と言われてこの上なく嬉しかった。
「あんたのきついもの言いを聞くと何だか安心するんだ。だから遠慮なくものを言ってくれよな。」
それにしてもきついもの言いが好きだなんて、俺は変な気(け)を持ち始めたのかも知れないなぁ。
とリョンヘは照れ臭そうに笑った。