第13章 露見
ハヨンがいつもの場所に着いたとき、リョンヘは既に座って待っていた。
「お待たせしてしまってすみま…」
リョンヘはハヨンの言葉を遮る仕草をする。
「そんなにかしこまるな。それに、今まで本当のことを隠して悪かったな。」
リョンヘが頭を下げるので、ハヨンは慌てふためいた。
「いえ、そんな謝らないでください。」
「…ほんとはな、最初はただ単にからかってやろうと思って声をああやって芸人のふりをしたんだ。後で驚いた顔を見るのが楽しそうだと思って。」
確かに思い返してみれば、いろいろと自分はからかわれたんだろう、と思える節がたくさんあった。
「正体がばれた時も、『え、まさか王子だったなんて!驚きました!』て言って笑い話になるかと思ってた。でも、あんたの顔を見た時、ああ、あんたは俺のこと、ちゃんと友達として見てくれていたんだなってわかった。それで、軽い気持ちで始めたことがこんなにあんたを傷つけることになって申し訳なくなったんだ。」
「…確かに、私も最初は怪しい奴と思ってました。でも、それ以上にリョンヘ様が優しかったのと、一緒にいて楽しいと思えたから、いつの間にか大事な友人になっていました。今までありがとうございました。」
きっともう、正体が明かされてしまった今、リョンヘはこれを最後に自分とは会わなくなる。そう思ってハヨンは感謝の言葉を伝えた。
「えっと、ちょっと待ってくれ。なんでそんな最後みたいな話方になってるんだ。」
「だってもうリョンヘ様にお会いすることはできないでしょう?」
ハヨンは思わず声を震わせてしまった。