第13章 露見
「それにしても助かったよ。リョンヘ、あのときちょうど君が来てくれてよかった。」
「まあ、偶然だけどな。お礼は俺が城から抜け出す手引きをしてくれたら十分だ。」
リョンヤンの机に書物を置きながら答えるリョンヘに、リョンヤンははぁ、とため息をついた。
「また城を抜け出すんだね。毎回父上に小言を言われても懲りないね、リョンヘは。」
「そりゃあそうだろう。王子のくせに城も城の外も知らなかったら失格だろう?それにかわりにリョンヤンに城の外の状況教えてるだろう?」
「私もそれはいいと思うんだよ?ただ、昔危ない目にあったし、そんなに頻繁に出るのは…。」
「まぁ、それはおいおい考えとくからさ。」
リョンヘは話を断ち切る。
どうやらいつも芸人に化けてリョンヘは城の外に出ていたらしい。
結構な頻度で、城を抜け出しているようだが、ハヨンの朝練習にもよく会うから、リョンヘの活動時間はかなり早い時間だ。
そのとき、
「入ってもよろしいですか。」
とハヨンと同じくリョンヤンの専属護衛で、先輩の白虎の兵士が入る。
「そろそろ交代だ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ハヨンは先輩に頭を下げると部屋を退出する。
話は聞きたかったが、時期が合わなかったのだ。またいつかリョンヘに尋ねてみたい、とハヨンは考えていると、袖に何やら紙が入っていることに気がついた。
゛明日の朝、いつもの場所で会おう。゛
という文面からリョンヘのものだと察せられた。
(それにしても私に気づかないように手紙を忍ばせるって…。一体何物なの…。)
ハヨンは驚きを隠せなかった。