第5章 新しい血
サイド
お腹いっぱいになった。
お兄ちゃんに無理させちゃったかな?
お兄ちゃんは?
私はお兄ちゃんがいないって分かるとキョロキョロしてお兄ちゃんを探した
晋助「アキラなら松陽と部屋で話してるぞ」
「そっか。」
晋助「なぁ、とアキラの話聞かせろよ」
晋助は私が座ってた場所の隣に座った
私はいつも誰かのお膝の上に座ってたから…癖が出ちゃったのか晋助の膝の上に乗っちゃった
晋助「…おい」
「…あ、ごめん」
晋助「別に、」
晋助は別に、なんて言ったけど私が落ちないようにお腹に手を回して支えてくれる。
お兄ちゃんができたみたい。
「私ね、きゅーけつきっていうんだって、キバがあって、血を吸って、血がご飯なんだよ?お兄ちゃんは普通の人間。私に血をくれる。いっつも私と一緒にいてくれる、大好きなお兄ちゃん」
晋助「なんでここにきた?」
「人間が多分お母さんたちを殺した…から」
晋助「多分?」
「お母さんとお父さんが玄関で『逃げろっ!』って、言って、窓から出る時に倒れてるところ見ちゃった。」
晋助「じゃあ、お前の家族…」
「お兄ちゃんだけになっちゃった…お兄ちゃんもいなくなったらどーしよ。」
晋助「アキラは…いなくなんねぇだろ、いつもお前といて、寝るときもお前が寝てから寝てるし、」
「でも、きゅーけつきは血をいっぱい飲んで人間を苦しめるって、本に書いてあった」
晋助「アキラが苦しんでるようには見えねぇけどな」
「…」
もう、誰もいなくならないで
誰かを失うことは辛いこと。