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マグネット

第1章 恋煩い 【SN】


 Nside

「………え…」

「ずーっと好きだった」

相葉さんが俺を…好き……?
そんなことあるわけ……。

「……うそ」

「ほんとだよ?」

抱きしめる力が緩んで、相葉さんの真剣な眼差しとぶつかる。

相葉さんとは20年以上の付き合いで。
親友でもあり家族のような存在。

それなのに……全然気付かなかった。

いつだって俺の翔ちゃんへの想いを真剣に聞いてくれて。

この時、貴方はどんな気持ちで聞いてたの?

そう思うと、自然と涙が頬を伝って。

俺が泣いちゃだめ。相葉さんの方がもっとつらいはず。

そう自分に言い聞かせても、溢れる涙は止められない。

「ごめっん…俺、相葉さんのこと…ずっと苦しめてた……?」

「あー、何でニノが泣くのー」

突然泣き出した俺を見て、焦った様子で相葉さんがさっきよりも優しく抱き寄せた。

ぽん、ぽんと一定のリズムでたたく背中の手に安心する。

「ごめんね…相葉さんとは付き合えない……」

「分かってる。ほんとは言うつもりなかったんだ…」


「でも……やっぱりニノには前に進んでほしいから…」

俺の耳元で相葉さんの声が心地よく響く。

「だから…今度はニノの番」

「え?」

「翔ちゃんに!アタックしなよ」

「……そ…だね。頑張ってみる」

「ニノちゃんなら大丈夫!」

相葉さんに言われたら何でもできる気がする。

ほんとはつらいはずなのに、相葉さんは満面の笑顔を浮かべて。

いつも俺は貴方のその笑顔に助けられてるの。

「あいばさんっ……」

普段だったらこんなこと言えないけど…。

相葉さんに負けないくらいの笑顔で。

「ん?」

「…俺のこと好きになってくれてありがとうっ」

その言葉を聞いた瞬間、相葉さんは俯いて何かを呟いた。

「……ずるい…」

「え…?………っ」

それは一瞬の出来事で。

俺の唇に相葉さんのが触れてすぐに離れた。

相葉さんに…キス……された…?

当の本人はいたずらが成功したかのように、満足気な顔をして。

「ごちそーさま。翔ちゃんにもらわれちゃう前にね。あっ、シャワー浴びてきなよ。マネが来ちゃうよ」

相葉さんの意地悪な笑みを見て、顔が火照ってくるのを感じる。

ずるいのはどっちだよ。

「い…今のはカウントしませんからねっ」

顔が赤いのを隠して俺は急いで部屋を出た。
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