第1章 恋煩い 【SN】
Sside
「相葉さんっ、今日家行っていい?」
収録が終わって皆が帰り支度をしている時、この光景を見ることが多くなった気がする。
俺はこの後雑誌の取材が残っているから、新聞を広げて2人を盗み見ている状態で。
「今日も、でしょ?しょうがないなぁ」
「生姜焼きね」
「また?好きだなぁ。俺の生姜焼き」
ニノは誰にでも距離が近くて、甘え上手で。
最近、相手がメンバーであっても嫉妬して…なんかモヤモヤして。
そんな自分が嫌で溜息を吐く。
その時、相葉くんと話していたはずのニノが、後ろからポンッと俺の肩に手を置いて体重をかけてきた。
「しょおちゃんっ、まだ仕事あるの?」
「あ……うん。雑誌の取材がね」
「そっかぁ。頑張ってね」
じゃあねー、と言いながらニノはいつもの笑顔で、相葉くんと出て行った。
ニノのあの笑顔を見ただけで、さっきまでのモヤモヤが溶けていく。
俺って単純だな。
「なに、ニヤニヤしてんの?」
「うっそ。まじで?」
松潤に言われて、ほっぺたをペチペチと叩いた。
「せっかくのイケメンが台無しだよぉ」
向かいのソファーで、寝転がってる智くんにも笑われる始末。
「そろそろ告ったらどうなの?」
「そうだよ。もうじれったくて見てらんないよー」
俺の想いは2人にはいつの間にか気づかれていて。
たまに相談を聞いてくれる。
「いや……だって迷惑でしょ」
「それでも男か、櫻井翔!男なら当たって砕けろだ」
「砕けたらちゃんと俺らが始末するよ」
松潤の言葉に、うんうん、と頷きながら智くんがふにゃっと笑う。
「って…2人とも砕ける前提かよっ」
2人の言葉が身に染みる。
いつだって真剣に俺の話を聞いてくれる2人には本当に感謝している。
気持ちを伝えずに終わるくらいなら、当たって砕けた方がいい。
よし、決めた。
櫻井翔、明日ニノに告白します。