第7章 大晦日はOh!味噌か
押さえつけられてる腕を振りほどこうとすると余計強く握られる。すると、耳をペロッと舐められた。
その瞬間体にぞくぞくっというか寒気みたいなのが全身を襲って思わず体が硬直する。
考えろ、考えろ。
とりあえず無駄でも抵抗するしかないと思って沖田さんの沖田さんを蹴ろうとすると膝が届く前に沖田さんが私の上から退いた。
「誰がオメーみたいなのに手ェ出すか。こちとらそれほど女に飢えちゃいねんだよ」
「...なら、最初からしないでください」
「暇だったからからかっただけだぜ。気にすんなって、イテェ!」
こたつの上にあったみかんを沖田さんに向かって投げつける。
「何そんなに怒ってんだよ」
「怒りますよ!当たり前です。私は、沖田さんに意地悪されて喜ぶようなドM女じゃないんです」
「そういう意味で言ったわけじゃね」
「寝ます。おやすみなさい」
ドシドシと効果音が出るほど足を踏み鳴らして部屋まで戻る。
腸が煮えくり返りそう。何なんだあの人。
私はあんたに意地悪されたって嬉しくないしドS対応されてもイライラするだけだし耳なんか舐められるのも嬉しくない。
布団に飛び込んでもイライラして眠れない。これも沖田さんのせいだ。
寝ようと無理やり目をつぶっているとどこからか除夜の鐘の音が聞こえる。
そうだ、今日は大晦日だ。なのにこんなにイライラする。除夜の鐘にもイライラ。沖田さんにもイライラ。こんな事でイライラする私にもイライラ。
腹が立つ。