第7章 大晦日はOh!味噌か
「アイドルって、いいですよね」
輝くような笑顔を振りまき、楽しげに踊り、歌う彼女らを見てると思わずそんな言葉が零れた。
「意外だな、オメー、アイドルにでもなりてェのか」
「そういうことじゃなくて、言葉のそのままの意味です」
「ふーん、具体的には?」
沖田さんは話に乗ってきた。意外だ。
この人のことだから適当に聞き流すものだと思ってた。
私の話を聞く他にすることが無いかもしれないな。実際無いけど。
「与えて、与えられて、みたいな。この子達の本心は分からないけれど、何も知らない第三者から見たら、
笑顔や歌やその他諸々をファンに与え続ける代わりにグッズとか、ライブのチケット代とか沢山お金を払ってくれるじゃないですか。
それって、一番簡単な愛の示し方だとおもいませんか?」
「愛してる、とかいう言葉よりも?」
「愛してるという言葉よりも」
「...ならさ、オメーは相手に愛の言葉を囁くよりブランド品でも買えって?」
「そんな訳ないじゃないですか。私は100万円のバッグよりも100万回の愛してるのほうがいいです」
「多いな」
「愛に多いも少ないもありませんよ」
「ふーん」
こたつから出していた足をまたこたつの中に入れる。
さすがにこたつ無しでは冬の夜は越せない。