第3章 ストーカーとゴリラは似ていないようでやっぱり似てない
「土方さん、沖田さん、ちょっといいですか」
屯所の縁側に土方さんと沖田さんは一緒にいた。
沖田さんは目が書いてある変なアイマスクをつけ寝ていて、土方さんは煙草をふかしている。
「ああ、佐藤か。近藤さんの件、ご苦労だったな。」
「いえいえ、そんなことないです。朝っぱらから変な男が部屋にいてうるさい起こし方をしてきたり、
近藤さんを迎えに行ったらなんかあの人想像と違うかったり、美人の恐ろしい部分を見たりしましたけど全然ご苦労なんかじゃありませんよ。
気にしないでください」
「本当だ。ご苦労って程でもねェな」
アイマスクを外しながら沖田さんが言う。
私が出せる最大限の憎しみを込めて沖田さんを睨みつける。
私の皮肉に気づいてないのか、それとも気づいていてわざとこの態度なのか。
この男の事だからどうせ後者だろう。
沖田さんは私が今タバスコをもってないのに感謝したほうがいい。
持ってたら絶対この男の無駄に整ってる顔にぶちまけてた。
「眉毛、ピクピク動いてやすぜ」
「は?」
「右眉。イライラしてる時のオメーの癖だろ。オメーはポーカーとかそういう類には向かねェーな」
一体いきなり何を言い出すんだろうこの人は。
今そんなこと関係ない。
それに、沖田さんに癖を見抜かれた事がなんだか悔してくて、両手で眉を隠す。
「今はそんな話がしたいんじゃなくて!
あの、家と職が見つかるまで、ここの女中させてもらえませんか?」
「女中?」
「はい。お金は稼いでいて損はありませんし」
「...近藤さんに少し相談しとくよ」
「ありがとうございます」