第1章 自称優男は大体外道
私は今まで付けてたお面を外し、斬った男のほうを向く。
私がいつも付けているのは狐のお面。
アマ〇ンで安かったのとなんか強そうだったのでこれにした。
でも、そんなことはどうでもよくて、大切なのは目の前の男。
男の顔に向けて従業員に貰ったまんまの水をかける。
それでも、起きないのでしゃがみこんで男の頬を軽く叩く。
「おい、起きなって。死なない程度にしてるから。生きてるから。起きなって。」
そう言うと男は目を薄らと開け意識を取り戻した。
「あれ、あんた...誰だ?」
「私はさすらいの美少女だよ。あんたが倒れてたんで助けに来ました。」
「はあ...。ここは極楽か?」
「ま、さっき居たとこと比べたら極楽といえば極楽か。
あのさ、あんた、金のために簡単に命なんか捨てるんじゃないよ。
さっさとこっから出て働きな。」
「いや、でも、武士の魂が...」
「うるさいな、何が武士の魂だ。
侍なら欲望のために命捨てるんじゃなく護りたいもの護って息絶えな。」
そう言ったら男は黙りこくってしまった。
「でも、今すぐに、って言われても無理だろうから、
少ないけどお金は貸したげる。期限はいつでもいいから、
賭け試合じゃなく、ちゃんと働いた金で返してね。」
そう言って、懐にしまってあったお金を30万程渡す。
男はそれを見ると目を輝かせ、何回もお礼をし、頭を下げて去っていった。
ついに男が見えなくなると、突然後ろから首に剣を突きつけられる。
「おいおい、後ろに危ねえ奴がいるのに気づかないなんてもっと危機感持った方がいいぜ。」
「...私の危機感センサーは誰かに冷蔵庫のプリン食べられそうになったときにしか働かなくてね。」
「それだけ感知すれば上等なもんでさァ。
それよりアンタ、煉獄関のモンだろ。」
ビックリして、剣に当たらないよう後ろを振り向くと、『美男子』、と言っても過言ではないような茶髪の少年が立っていた。
「その反応は当たり、だな。女ってとこもみると、アンタ、『荒彩』って奴だな。」
「私を知って頂けてるとは何とも嬉しい限り。
私も君を知ってるよ。真選組の『沖田総悟』、でしょ?」