第3章 ストーカーとゴリラは似ていないようでやっぱり似てない
屯所に着いたら、門付近で土方さんが待っていて少し驚いた。
何事かと思うと、もう夕飯時だから少し待っていただけらしい。
土方さんに案内されたのは食堂。
「隊士達はここで食事をする。佐藤もここで食事をとってくれ。」
「分かりました。」
食事というもので食事をとるのが初めてで、土方さんの真似をするしか無かった。
隊士がひしめき合う食堂でどこに座っていいのかも分からずとりあえず、土方さんの前に座る。
多分、近藤さんとかが私のことを話してるだろうから、あまり近寄ってこないけど、視線を感じる。
現にチラッと隊士達の方を見ると、私の視線に気づいた隊士達が慌てて違う方向を向く。
何だか、居心地が悪くて今食べているカレーの味もあまり感じない。
「すまんな」
「へっ?」
今まで黙っていた土方さんがいきなり話しかけてきて思わず変な声を出してしまった。
ていうかこれ、私に話しかけてるんだよね。間違ってないよね。
「居心地、わりィだろ。何分、屯所に女がいるってのもねェ事だから、アイツらもまだ慣れてねェんだよ。
なんだったら俺が佐藤には近づくな、って言い渡すが――――」
「そ、それは大丈夫です!どんどん近づいて貰って構わないです!」
そんなこと言われたら逆にもっと居づらくなる。
せっかくの機会だからそれなりに仲良くしておきたい。
「そうですぜィ。過保護ぐらいがちょうどいいって言いまさァ。
どうせなら、縛られまくって首輪まで付ければいいんじゃないですかィ?」
いきなり頭が重くなったと思ったら沖田さんが腕を私の頭にのせてた。
少しイラッとして腕ではらうとすんなりと下ろしてくれた。
「誰もそこまで言ってません。」
「冗談に決まってんだろィ。冗談が分からねェ女はモテねぇぜ。」
更にイラッとして言い返そうと思ったら土方さんが目線で「やめろ」と言ってきた。
絶対今度何かで言い負かしてやる。