第9章 自暴自棄と、大切な人と
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秋頃、彼は自己主張を強めていって
ついに私の視界に入った。
『ヘイヘイヘーイ!!!レフトー!!』
1個上にも余裕で勝るパワー。
士気を高める口調。
バレーへの貪欲さ。
かっこいい、って思った。
初めて異性を目で追いかけた。
マネ仲間にはその日の内に言った。
『ええ!?木兎!?うるさいだけじゃん!?』
『同じクラスだけど、落ち着きないよー』
『んー…でも、なんだろう、気になる』
2人は目を合わせてから、私をみる。
『まおなら可愛いし大丈夫!』
『応援してるから、なんでも言ってー』
その日を境に誘われて、ヤるのをやめた。
純粋にバレーを頑張ってる彼に失礼だと思った。
初めて会話した時の事はよく覚えてる。
『…はい、タオル』
『お!?サンキュ!まおから話しかけられたの初めてじゃね?』
『木兎、くんはなんで私の名前…』
『ん?まあ、同じ部だし、ここまで話しかけられないと嫌われてるかもって逆に気になってたわ!』
ワハハ!って、豪快に笑った。
あ、この人のこの顔、好きだ。
『まおは木兎の事大好きだねー』っていつも雪絵ちゃんに言われてた。
『見すぎだよー、ちゃんと記録取らないと、かおり怒るからねー』
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